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6、範囲。


すなわち、この範囲のことしか見えず、知り得ず、理解することもできない、ということなのである。同じ現実を異なる感じ方と、異なるかかわり方でもって接している。また、そうである以上、同一の現実というのが、それぞれにとって異なる現実として、自分に関係してきているのである。

自分が生きている現実に対する理解の仕方も、また、その目的や理由といったものもそうなのである。自分の興味や、好みや、利害といったものがそうなのである。それは、現実を生きている本人自身の立場を反映しているのである。

そうである以上、現実はそれぞれの個人にとって別のもの、別の世界のものであると言わざるを得ないである。たとえば同じものが、あるいはまた、同じ出来事が、それぞれにとって異なる理由と意味を持って、自分に迫ってきているのである。

だからまた、本来、だれでもが気づくような当たり前のことが、自分には気づかなかったり、見えなかったり、気にならなかったり、といったことが起こるのである。現実に見えているはずなのに、見えていなかったりするのである。

戻る。                 続く。

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