index< 日誌 < av表情 < 22-07「感覚の事情」p11


5、範囲。


だから現実世界が無限であるというのは、それと関わりあう自分が有限だからなのであって、また、自分が有限であることによって、始めて、自分が現実の世界に働きかけることが出来るのである。自分が自分として営み続けることができるのである。

有限であるというのは、自分と他者の間に境界線があるからであって、そしてこれが自分と他者とを区別する存在にしているのである。そして、自分という意識する主体といったものが有限であるということ、歴史的にも環境としてもそうであるということ、このことが人間を条件づけ、そこからまた、人間というのが規定されてきたのである。

このように人間は、あらかじめ定められた現実の範囲の中でしか何も成し得ないのである。しかしまた、この範囲があることによって、そしてこれが現実の条件の中であるからこそ、人間は何かを成し得るのである。


戻る。                     続く。


index< 日誌 < av表情 < 22-07「感覚の事情」p11