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3、必要。


事実、日本史上の文字として残された、わずか二千年足らずの歴史においても、それは明白に認めることが出来る。始めは、「色」というのが無かったのである。もちろん色という言葉は有ったのかも知れないが、その意味が今日使われている意味と著しく異なる、という意味でそうなのである。

たとえば、「古代色」に関しては、古代に日本人には「色」を表現する言葉がなかった。それは、ただたんに明・暗・顕・漠という表現でもって、自分の中の気分や気持ちといったものを表現していたのである。だからこの場合の「色」とは、原色のことではなく、気分や気持ちのことを指していたのである。

それは見える現実世界の実際の色を表現したのではないのである。仮に色覚細胞が各色そのものを識別する能力があったのだとしても、現実に生きている自分たちの暮らしにとって、それを識別する必要がなかったのだ、ということを意味している。


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