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2、原形。


自分の意志というのが始めから曖昧である以上、他の生き方というのが出来ないのである。だれか他人をマネて成り済ます以外の生き方を知らないのである。オリジナルな自分の意志がない以上、それはどうしようもなく、どうにもならないことなのである。

始めから自分の中に、自分にしかない自分だけのオリジナルなものが無いのである。自分の中に自分が存在しないのである。自分の中で自分を問い続ける、自己意識の原形が存在しないのである。自分というのが存在しない以上、それは仕方のないことなのである。

だからまた、このような自分にとって許される生き方はただ一つ、このシステムの中の忠実な歯車(はぐるま)としての生き方だけである。そしてそれは、自己の自律性と、自己意識の圧殺と、そしてその廃墟の上に成り立つものなのである。


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