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2、カオス。


そしてこのような自分の中にある、自己のより根源的で本質的な同一性・自律性といったものを、人間は自ら進んで忘れ、失い続けてきたのである。しかしまた、これが進歩である以上、仕方のないことだったのである。

それがもっとも生きやすく、また、だれからも求められる生き方として、社会全体がそれを求め続けてきたのである。もしも人間というのが、より自由で可能性ある存在であろうとするならば、このような、自分の中にあるクセや傾向、方向性といったものを捨る必要があったのである。

それは混乱し錯綜した、得体の知れない混沌の中から生まれ出てきたのである。それはもともと何か基準となるような区別があったのではなく、またそのような区別すらも曖昧で意味を成さない、区別以前の世界なのである。


戻る。                     続く。


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