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2、回想する肉体。


だからそれはもともと自分ではない者なのである。自分の中に自分ではない者が住んでいて、それが何かのひょうしに、いきなりひょっこりと顔を出してくるのである。やはりそれは、理由なき衝動とでもいう他(ほか)ないものなのである。

自分の中に巣食う、何かの得体の知れない生き物が僕を追い立て、支配し蝕(むしば)んで、食い物にしているのである。そして実は、そうして「種」としての自分たちの祖先が歩んできた過去の記憶の世界を垣間見ているのである。失われた過去の祖先の記憶を見ているのである。

自分自身の内へと向かう内向感覚の世界に、それを見ているのである。あるいは、自分でも意味不明で得体の知れない、自分自身の中の情緒の世界の中に、それを見ているのである。自分の肉体がそれを覚えていて、そうしてワケもなくそれが思い出されてくるのである。

そしてこの延長線上に、現在を生きる自分自身というのが存在しているのである。自分の意識や思考では、知ることも気づくことも出来ないのであるが、生きている自分の肉体の生理が、それを記憶していたのである。生理の仕方やそのリズムとして思い出されているのである。


戻る。                     続く。


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