index< 日誌 < j生理的情緒< 22-58「刺激に対する反応」p9 |
実際に、人間の感覚器官がそうである。そのように出来ている。視覚であれば、それは網膜内の明暗の桿体細胞、そして緑・赤・青の錐体細胞によって為される。それは必ずしもすべての色に反応しているのではなく、明暗と緑・赤・青だけに特化し、それでもって脳内で変換し合成している。そうして、ほとんどすべての色を作り出して識別しているのである。 光という現象の無限の多様さを、限りある最小の信号にまで変換して、そしてさらにそれを再合成して識別しているのである。そうしたことは、多分に人間の感覚器官のすべてについて言えることではないだろうか。 限りある現実の肉体でもって感覚というのが営まれる以上、それはどうしても最適化・省力化されざるを得ないのである。身体組織と神経細胞の余計で頻雑面倒な手続きを省略して、言わば、クセと慣れ、習性として、あるいはまた、同時的な反射作用として処理されるのである。 |