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3、自分のすがた。


本来、精神とは別のものであるはずの、自分自身の現実の肉体を借りて、それに乗り移り、取り憑いて、自己を表現しにかかるのである。そうやって現実の世界に出て来ようとしているのである。それ以外の表現方法を持たず、知らず、出来ないのである。

そしてまた、それ以外の現実というのが、この世界にはないのである。そしてこの現実以外のところに、精神が現れる場面というのがないのである。だからまた、チグハグで不安定で、あり得ないはずのものとして、それを感じてしまうのである。

いつまでたってもカタチの定まらない、漠然としていて捉(とら)えどころのない世界。現れては消えていく、無限の変化をくり返し続けるマダラ模様の、ただよい移ろい行く「裂け目」のように感じられてくるのである。


戻る。                     続く。


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