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9、必然性の証明。


だからまた、ある個人、あるいは民族や国家にしても、歴史上のある限られた範囲の中だけで見ると、千差万別で様々に変化に富んでいるのであるけれども、しかしまた、それが持つ方向性と存在の必然性といった視点から見ると、それはそのようにしかなれず、それしかあり得ず、ただそれだけが現実にあり得るただ一つのすがたを成しているのである。

それしかないのである。それが、歴史上に存在していたということ自体が、それ以外のカタチになれず、それ以外のカタチでは存在出来なかったということを意味していて、それを証明しているからである。

なぜなら、それ以外のものが現実に無いということが、それがいつの間にか消えて失われていることを物語っているからである。そして最後までこれが残っているということ自体が、結局のところ、それ以外の者に成り得なかったということを証明しているのである。


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