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6、抽象化。


それは歴史的にも、空間的にも、そしてまた物理的にもそうである。私たち人間はそのように現実を見てきたし、また、理解もしてきたのである。そしてまた、そのようにして未知の比較不可能な現実世界を辿(たど)ってきたし、辿ってゆくことが出来たのである。

意識の中で作り上げた観念の世界が、それを可能にしたのである。見える現実の世界から、見えることのない内面の世界を見ることが出来たのである。つまり、抽象化してきたのである。すなわち、頭の中の、観念の世界の中でカテゴリー化してきたのである。

そして、このような見える現実の世界を通してのみ、自分の中の、見えることのない未知の世界を意識することが出来たし、また、それを知ることが出来たのである。そうやって自分を意識し、理解し、確かめて来たのである。

自分を知る方法としては、それ以外になかったのである。そしてまた、これこそが人間にとっての現実のすべてだったのである。見える現実の世界を通して、私たちは、自分の中の意識の世界を見ていたのである。


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