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従ってまた、日本においては大陸に見られるような正当な意味での宗教は存在しない。それでももしもあるとすれば、それらすべての宗教をそれ以前のところで規制してる「日本教」とでも言ったものである。 それは気配りと察しの世界であり、「あ・うん」の呼吸であり、コネと談合、根回しと村八分の、暗黙の合意の世界なのである。要するに それらの根底にあるのは、同じ人間=日本人という意味である。自分たちと外の人間を厳密に区別している。この世界では、人間とは日本人だけなのである。 すなわち、このような世界では、宗教以前のところで自意識というのが自律しておらず、宗教そのものが成り立たないのである。自分とは自分たち「日本人」のことであり、それ以外は日本人でもなければ人間でもないのである。 人間とは自分たち日本人のことであり、それ以外の者は何か得体の知れない、自分たちとは関係のない、かかわってはならない別世界の異人・異人種でしかないのである。 |
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