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2、感性。



「見える」とは、見えないものがあるから見えるのであって、そうした区別の前提になっているのが、こうした忘れられ失われていった色なのである。それは、あるいはまた、他の言い方をすれば、それと意識することなしに間接的に感じている色でもあって、例えば「空気」の色がもっとも象徴的である。

それはもはや視覚というよりも、自分の感覚の五感と、肉体のすべてで感じている、または、そうやって感じられる色である。 視覚で感じる以前の純粋の感覚そのもの、五感の全体と第六感の世界なのである。色だけでなく、空気の明るさ重さ、息苦しさといったものがそれである。

それは実際の色や明るさとはかなり違ったものとして感じられてくるのである。例えば、空気の重さがそうである。空気の重さに違いなどあるわけがないのに、実際、場の空気が重く感じられてくるのである。重苦しい雰囲気といったものがそうである。

戻る。             続く。


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