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2、限界。



そしてこのカタチとは、すでにあるもののことである。現実に無いものをもって、現実の世界で何かを表すことは不可能なのである。人間は、すでにあるもの、すでに知られているものを通してしか、自分というのを表現し得ないのである。

現実にないものをもって何かを表現し得たとしても、それを理解できる人間はこの世に存在しないのである。人間は現実にあるものを通してしか、なにごとも知り得ないのである。そして現実にあるものとは、すなわち、自分の経験であり、そしてそれが蓄積された記憶の世界のことである。

そうした経験と記憶のくり返しが、人間の観念の世界をカタチ作ってきたのである。「カタチ」とはこのことなのである。このような意識の世界、そしてそれを基にカタチ作られた観念の世界は、ある意味で有限の世界である。なぜなら、カタチそのものが、すでに有限のものだからである。


戻る。                   続く。


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