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2、体内感覚。



それは耳ではなくて身体全体で、そして身体内部の自分自身の内部感覚を通して聞こえてくるのである。意志や思考ではなくて、感覚の直接の感じ方として伝わってきて、響いて、そして自分の中に入ってくるのである。

それは耳で聞いているのと同時に、自分の心臓の鼓動や、触れる肌の感触や、だれかの息づかいとして、直接聞こえてくるのである。夢の中の世界がそうである。

たとえば、オーケストラの中のタイコの音はどうだろう。多少、早くなったり遅くなったりするけれども、たいてい等間隔で聞こえてきて、そしてその強弱が強調される。そしてこのタイコの音が他のすべての音を秩序立てている。メトロノームのように作用している。

メロディー全体のリズムの背景として、そしてそれを規制するものとして作用している。そして僕は、このタイコの音が実は、僕自身の心臓の鼓動の音のように聞こえてくるのである。


戻る。                   続く。


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