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3、タイコ。



たしかにその通りで、タイコと心臓の音はよく似ていて、音色といい、間隔といい、そしてその振動の衝撃といい、すべての音の下地や背景として作用しているのである。まるで、音楽が進行するにつれて、自分自身の心臓がそれに呼応しているかのように、タイコの音が聞こえてくる。

たしかにそうである。ぼくの心臓はタイコの音と繋(つな)がって共振している。そしてそれに呼応し、それに共鳴し、そして反響している。そうしてぼくの血流と呼吸の速さや強弱といったものが、タイコの音と一体化して繋(つな)がっている。

ぼくの中の心臓の動きといったものが、タイコの音につられて共振し、いっしょになって、何かを発信しようとしている。肉体の心臓がそれだけで何かを感じ、そしてそれにつられて動き始めている。何かを願い求め、問いかけ、そして祈っている。


戻る。                   続く。


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